【プレスリリース】
実用的な大規模誤り耐性量子コンピュータを開発へ
京都大学、分子科学研究所の研究者で「株式会社Yaqumo」設立
2025.04.16
国立大学法人京都大学(京都府京都市/総長:湊長博 以下京大)高橋義朗教授の研究グループメンバーと大学共同利用機関法人自然科学研究機構分子科学研究所(愛知県岡崎市/所長:渡辺芳人 以下分子研)大森賢治教授の研究グループメンバーが中心となり、4月1日に株式会社Yaqumo(ヤクモ、東京都千代田区/代表取締役 CEO:中小司和広)を設立しました。日本が世界に誇る両研究室の研究成果を持ち寄り、実用分野で応用可能な大規模な誤り耐性量子コンピュータを提供することを目指します。
量子力学の原理を活用した次世代の計算機である量子コンピュータは、現在のコンピュータでは解くことが困難な問題を効率的に解決できる可能性があるとして、その実用化が期待されています。量子コンピュータにはさまざまな実装方式があり、世界中で開発競争が進められていますが、実用化にはシステムの大規模化や計算中に発生するエラーへの効率的な対処といった課題が残されています。近年、こうした課題の克服が期待される画期的な方式として、レーザー光で冷却された中性原子を量子ビットとして用いる「冷却原子(中性原子)方式」が、産官学から大きな注目を集めています。
分子研の大森教授と京大の高橋教授は、大森教授がプロジェクトマネージャーを務める、破壊的イノベーション創出を目指す内閣府の大型研究プログラム「ムーンショット型研究開発制度」の目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」において、冷却原子方式による量子コンピュータの研究開発を推進し、世界をリードする成果を上げてきました。
京大高橋研は量子計算に有用な特徴を有するイッテルビウム原子のレーザー冷却手法を世界に先駆けて確立した研究室です。最近では、2種類の同位体の一方を計算用量子ビット、もう一方をエラー検出用量子ビットとして用いることで、計算や結果の読み出しを高精度化する基盤技術を開発しました。
分子研大森研は計算に用いる多数の量子ビットを用意するための高精度な光ピンセット技術や、パルスレーザーによる超高速な量子もつれ生成技術など多数の優れた技術を有しています。さらに、量子コンピュータに必要な様々な機器を統合的に制御するシステムアーキテクチャ設計にも強みを持っています。
Yaqumoは両研究室の基礎技術を基に、冷却原子(中性原子)方式の国産量子コンピュータ開発に取り組み、量子コンピュータの実用化に不可欠な大規模な誤り訂正機能を実装した実機開発を目指します。目標の実現に向け、実機開発、応用研究、サービス展開など様々な面で産業界との連携も進めてまいります。
【会社概要】
■会社名 株式会社Yaqumo
■代表者 中小司 和広
■所在地 〒100-0005 東京都千代田丸の内2-3-2郵船ビルディング1階
■設立日 2025年4月1日
【関連リンク】
- 株式会社Yaqumoホームページ
- https://yaqumo.com/
- 京大高橋研究室ホームページ
- http://yagura.scphys.kyoto-u.ac.jp/
- 分子研大森研究室ホームページ
- https://ohmori.ims.ac.jp
- ムーンショット型研究開発事業 大規模・高コヒーレンスな動的原子アレー型・誤り耐性量子コンピュータについて
- https://www.jst.go.jp/moonshot/program/goal6/69_ohmori.html